★今回のリニューアルで発売される「ロジャー３」シリーズに導入された新機能「ロジャーアンリミテッド」。メーカーの説明によると「受信機の機能を簡単かつ無制限にセットアップできる画期的な機能」とのことです。さて、ロジャーを必要としているお客さま（個人、教育機関、企業など）にとって、実際にどのようなメリットがあるのか考えてみましょう。
★本題に入る前に、大前提として
そもそもロジャーって何？
ロジャーの受信機って何？
ロジャーダイレクトって何？
というところを説明していきます。
ここではロジャーのことをあまりよくご存知でない方向けに書いていきます。
ロジャーに詳しい方は読み飛ばしていただいても構いませんし、復習の意味で読んでいただくのも良いかもしれません。
そもそもロジャーって何？
まず、難聴者が装用している補聴器 / 人工内耳は、
装用者と話者（家族の方、学校の先生やお友だち、会社の同僚など）が、1.5m以内に1対1でいる
かつ、周りの雑音や騒音、他の人たちが発するザワザワ音などが、ある一定レベル以下
であれば有効に機能します（つまり、補聴器や人工内耳だけで、困らないレベルで聞こえます）
しかし、
騒がしい環境、騒音が多い環境（学校の休み時間、ワンフロアで勤務者が多いオフィス、電話の着信などが多いオフィス）
装用者と話者が1.5m以上離れている時（装用者が一番前に座っても先生と距離がある教室、会社の朝礼など）
話者が複数人いる状況（学校でのグループワーク、会社での会議やミーティングなど）
では補聴器 / 人工内耳だけでは音を拾いにくくなる為、ロジャーを併用することで聞こえを改善できます。
メーカーが持っているデータ、文献によると
「補聴器ユーザーの31% が、聞こえに限界を感じています」
「補聴器とロジャーを一緒に使うと、ことばの理解が最大61% 改善する」
とのことです。
ロジャーの受信機って何？ 必ず送信機とセットで必要なの？
ロジャーには送信機（マイクロホン）と受信機が用意されており、必ずセットで使っていただくようになります。
（唯一、Bluetooth機能を持っているマイク「ロジャーセレクト」と音声文字化アプリをインストールしたiPad などの
ガジェットを直接繋ぐ、受信機を必要としないソリューションもあります）
送信機はシチュエーションによって、いくつかの機種が用意されていますが、
話者が、ストラップで首から下げたり、クリップで胸元に留めたりして使う
テーブルなどに置いて、そこに座っている複数人の声を拾う
装用者が手に持って、話者にインタビューするように向ける
など、いろいろなモードで話者の声を拾うことができます。
一方、受信機は難聴者が装用する補聴器 / 人工内耳などに合わせた機種が用意されおり、
フォナック製補聴器に合わせた一体型受信機
人工内耳の特定の機種に合わせた一体型受信機
他メーカーの補聴器、人工内耳などに対応できる汎用型受信機（条件あり）
健聴者用のモニターや、聴力に異常のないAPD / ASD / ADHD 当事者などに対応できる受信機
などがあります。
「ロジャーダイレクト」とは？ 対応機の一覧も
2020年1月には、「ロジャーダイレクト」機能といって、外付けの受信機を必要とせず、補聴器に受信機機能をインストールして使える送信機「ロジャー iN（ロジャー アイエヌ）」がリリースされました。
ロジャーダイレクト対応送信機
ロジャーペン iN（2021年12月販売終了）
ロジャーセレクト iN
ロジャーオン iN
ロジャーダイレクト対応補聴器
2019年6月リリース以降のマーベル・パラダイス・ルミティシリーズに対応しています。
（現行販売機は下表の青字の機種となります）
| シリーズ | 耳かけ型 | 耳あな型 | ||||||
| RICタイプ | 標準タイプ | パワータイプ | お子さま向け | |||||
| 防水 | 標準 | スリム | ||||||
| マーベル | オーデオＭ | ボレロＭ | ナイーダＭ | スカイＭ | バートＭ（一部） | |||
| 販売開始 | 2019/6 | 2020/1 | 2020/10 | 2020/10 | 2020/5 | |||
| 販売終了 | 2024/05 | 2024/5 | 2024/7 | 2024/7 | ||||
| パラダイス | オーデオＰ-ＲＬ | オーデオＰ | ナイーダＰ | バートＰ（一部） | ||||
| 販売開始 | 2022/7 | 2020/12 | 2021/7 | 2022/7 | ||||
| 販売終了 | 2023/9 | 2024/10 | 2024/7 | |||||
| ルミティ | オーデオＬ-ＲＬ | オーデオＬ | スリムＬ | ナイーダＬ | スカイＬ | |||
| 販売開始 | 2023/6 |
2022/11 |
2023/6 |
2023/9 | 2023/9 | |||
いよいよ本題！「ロジャー３」の「ロジャーアンリミテッド」とは？
従来の「ロジャーダイレクト」対応送信機である「ロジャーオン iN」「ロジャーセレクト iN」では、
対応補聴器にインストールできる受信機機能は2台のみ
受信機機能をインストールするには、別の器具（ロジャーエックス、ロジャーインストーラー、専用冶具など）が必要
受信機のインストール作業は、販売店が行う必要がある
という制限がありました。
今回のリニューアルでは、こうした障壁をすべて取り払い、
4種類のマイク
ロジャータッチスクリーンマイク３
ロジャーセレクト３
ロジャーオン３
ロジャーテーブルマイク３
から、上記の対応補聴器に対して無制限にセットアップが可能に。
（用語も「インストール」から「セットアップ」に変更）
セットアップ作業に、他の器具などは不要でシンプルで早く実施できる
その結果、受信機のセットアップ作業は、ユーザー自身が簡単に行うことができるように
ということが可能になりました。
さて「ロジャーアンリミテッド」のメリットは？
個人の場合、
ロジャーダイレクト対応補聴器に買い換えた場合、受信機を買い足さなくても良い
学校や会社の場合、
新たに配慮を求める学生や社員が、対応補聴器を持っていれば、受信機を買い足さなくても良い
（対応補聴器でない場合でも、従来の汎用受信機（ロジャーエックス / ロジャーネックループなど）が使えます）
受信機不要なので、コストメリットもあります。これに関しては改めて別項で書きます。