新年度、聴覚障がい学生が入学してきた際の、補聴援助システム「ロジャー」導入の考え方

新学期を控え、各大学様でも新入生を迎える準備が進んでいらっしゃるかと思います。新たに難聴学生の入学が決まっている大学様では、実際に支援について学生さんとのミーティングもされていらっしゃることでしょう。そういった話し合いのなかで、補聴援助システム「ロジャー」の話題が出た時にどのように考えていけば良いのか、ここではケース別に考えてみましょう。

 

なお昨今、ロジャーは発達障がいの学生さんへの効果も報告されていますが、このページでは聴覚障がいの学生さんへの対応に絞った内容としています。

 

【入学予定の聴覚障がい学生さんから支援要請があったら。。】

 

(1)学生さんがロジャー利用経験がある場合

  (A)学生さんがご自身でロジャーを持っている場合

    (a)大学では購入せず、学生所有のロジャーの授業利用許可のみ

    (b)大学で、学生所有のロジャーと同機種を購入する

  (B)学生さんがご自身でロジャーを持っていない場合

    (a)大学でロジャーを購入し、学内で学生に貸与する

    (b)ロジャー運用以外の方法で対応する 

 

(2)学生さんがロジャー利用経験がない場合

    (a)学生さんとのディスカッションで、ロジャーによる支援を提案し、導入を検討する

 

   

(1)学生さんがロジャー利用経験がある場合 

 高校年代までにロジャーを使っていらっしゃるケースです。聴覚支援学校やろう学校では、全国の4分の3以上の学校でロジャーを導入しており、公立や私立の高校での導入も進んでおります。よって大学入学前に、学校でロジャーを利用経験のある学生さんが増えています。

 

 (1-A)学生さんがご自身でロジャーを持っている場合

  支援学校などで貸与されたロジャーだけでなく、親御さんのご配慮によってご自身でロジャーを所有されている学生さんもいらっしゃいます。そういった学生さんは、入学された大学でもロジャーの利用を希望されるケースがほとんどです。

 

  (1-A-a)大学では購入せず、学生所有のロジャーの授業利用許可のみ

   利用許可のみの運用となりますので、大学側ではコストもかかりません。

 


  (1-A-b)大学で、学生所有のロジャーと同機種を購入する

   ロジャーは送信機(マイク)と受信機のセットで初めて利用ができます。受信機は個々の補聴器 / 人工内耳に合わせた機種がほとんどです。学生さんの要望をよくお聞きになったうえで、大学では先生に使っていただいたり、ゼミやグループワークで使われる送信機を導入していただくケースが多いです。

 

 

 

 (1-B)学生さんがご自身でロジャーを持っていない場合

   高校年代までに学校でロジャーを使っており、効果は分かっていらっしゃるものの、ご自身では所有されていなく、学校でのロジャーの導入を求めていられるケースです。

 

  (1ーBーa)大学でロジャーを購入し、学内で学生に貸与する

   合理的配慮の元、学生さんの支援要請に応じて大学でロジャーを購入します。

 



 

  (1ーBーb)ロジャー運用以外の方法で対応する 

   ノートテイク / PCテイク運用のノウハウがある場合、それを用いることを提案できます。合理的配慮の元、学生さんの支援要請に応じて大学でロジャーを購入します。

 


(2)学生さんがロジャー利用経験がない場合

    (a)学生さんとのディスカッションで、ロジャーによる支援を提案し、導入を検討する


 

(2023/03/18 執筆 2024/01/16 妥当性判断)

 

 

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