全国の市区町村の、軽度・中等度難聴児に対する補聴器 / ロジャーの助成金制度を調べてみました。
調査数:全国1741市区町村(東京都特別区のみ23区それぞれ、その他「区」を持つ20政令指定都市は市ごと)に調査をしました。
調査方法:それぞれの自治体のサイトにアクセスし、軽度・中等度難聴児の補聴器購入助成金や、福祉要綱などを精査しました。
調査時期:2021年10月
その結果を、A~Fの 6つの区分に分けました。
区分の詳細は以下の通りです。
(グラフ要素■:ロジャー)
ロジャーの助成が可能と思われる。(83市区町村 / 全体の 4.8%)
D.「補聴援助システム」の助成が可能と表記
E.「FM / ロジャー」の助成が可能と表記
(グラフ要素■:FM型補聴器)
FM型補聴器と比較してロジャーの助成が可能かを問合せる必要がある。(226市区町村 / 全体の 13.0%)
B.「FM型補聴器」の助成が可能と表記されており、「デジタル補聴援助システム」の助成が可能かを問合せる必要がある。
C.「特例補装具」の助成が可能と表記されており、ロジャーの助成が可能かを問合せる必要がある。
(グラフ要素■:補聴器)
補聴援助システムの助成が可能かを問合せる必要がある。(1113市区町村 / 全体の 63.9%)
A.「補聴器」の助成が可能と表記されており、補聴援助システムの助成が可能かを問合せる必要がある。
(グラフ要素■:リンクなし)
補装具として補聴器の助成が可能かを問合せる必要がある。(319市区町村 / 全体の 18.3%)
F.補装具としての補聴器等の助成の表記が全くないため、問合せる必要がある。
※ここでいう助成は「軽度・中等度難聴児」に対するものです。「高度・重度難聴児」に対しては、
「障害者総合支援法」による助成が適用されます。
A | B | C | D | E | F | |||
ロジャー補助金 判定 | 問合せ | 問合せ | 問合せ | 可能 | 可能 | 問合せ | ||
地方 | 都道府県数 | 全市区町村数 | 補聴器のみ | FM補聴器のみ |
特例補装具 |
補聴援助 システム |
FM / ロジャー | 確認できず |
リンク種類 | 細字リンク | 太字リンク |
ピンク太字 リンク |
青太字リンク | 赤太字リンク | リンクなし | ||
合計 | 47 | 1741 | 1113 | 211 | 15 | 27 | 56 | 319 |
北海道 | 1 | 179 | 127 | 1 | 1 | 0 | 1 | 50 |
東北 | 6 | 227 | 143 | 30 | 0 | 0 | 3 | 51 |
関東 | 7 | 316 | 182 | 54 | 0 | 16 | 33 | 31 |
中部 | 9 | 316 | 214 | 41 | 0 | 1 | 1 | 59 |
近畿 | 7 | 227 | 141 | 27 | 15 | 0 | 11 | 33 |
中国 | 5 | 107 | 73 | 8 | 0 | 9 | 6 | 11 |
四国 | 4 | 95 | 56 | 9 | 0 | 1 | 0 | 29 |
九州 |
8 |
274 | 177 | 41 | 0 | 0 | 1 | 55 |
まずは、各自治体の福祉のご担当者、サイト制作のご担当者に敬意を表します。
ここではトピックスをいくつかご紹介いたします。
20の市町で「FM型補聴器」の助成が表記されており、さらに「デジタル無線方式のものも含む」と併記されています。
すなわち「ロジャーOK」ということです。
12の区市で「補聴システムはFM型及びデジタル方式が対象となる」旨の記述がそれぞれのサイト内にあります。
また、東京都福祉保健局のサイト内の「中等度難聴児発達支援事業」ページも同様の記述があり、
実施主体は市区町村となっている為、他の市区町村でも、相談ができると思われます。
ろう学校きこえの相談支援センターが全19市町村に直接問合せてまとめた資料がネットに上がっています。
この資料で「FMシステムの助成が〇」になっているのが14市町あります。
15の市町で「特例補装具」の助成が表記されており、「補聴援助システム(ロジャー)」の助成が認められる可能性が高いです。
10の市町で「FM型補聴器」の助成が表記されており、さらに「ロジャーシステムを含む」と併記されています。
ある市の担当者に聞いたところ、兵庫県の要綱でこの表記が使われている為(ネットでは確認できない)、
どの市町村でもそれに準じているとの事です。
全国でも「ロジャーOK」と明記されているのは、兵庫県だけです。
徳島赤十字病院耳鼻咽喉科の千田いづみ先生がまとめた資料がネットに上がっています。
この資料内に「徳島県では 補聴援助システムを希望し、申請した両側難聴 児の全員に助成されており、
補聴援助システム の普及は徳島県が全国第 1 位である」という記述があります。
なお、「ヒアリングエイド・ボルテージ・ドットコム」では、
「自治体へのロジャーの助成に関する申請アドバイス」を無料で行っています。
(参考)
令和 2 年度 軽度・中等度難聴児に対する補聴器購入費用助成制度の 地域差に関する調査報告
(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本臨床耳鼻咽喉科医会 合同委員会 福祉医療・乳幼児委員会)
(2021/10/22 執筆 2022/08/12 妥当性確認 2023/05/20 加筆修正)
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